2008-2009年度人間科学科長・船津功(日本近代史・北海道史専攻)
人間科学科という名称は、経済学、法律学、経営学等という学問名に比べてあまり聞きなれない学科名だと思います。日本においては、戦後社会が多様に発展し、複雑化する中で、1970年代あたりから人間科学、あるいは人間関係学という学問体系が話題になってきました。新たな人間的課題や人間関係、社会問題等に対応するため、既成の学問成果を尊重しながらも、現代的な問題意識に立った学際的、実際的、総合的な新しい学問体系が必要とされたのです。
札幌学院大学の人間科学科も以上のような社会要請を背景に、人間そのものと人間を中心に社会の諸問題を研究・教育することを目的に1977年に設立されました。その後、2001年に臨床心理学科、2006年にこども発達学科を分立させながら、人間科学科自体の内部充実を図ってきました。現在の人間科学科は、「社会」「教育・心理」「福祉」「文化」「思想」の5つの学問領域にカリキュラムが編成され、既成の学問の方法論を基礎にしながらも現代的な問題、北海道の地域的な課題、学生各自の個別な興味・関心等にもとづいた多彩なテーマについて実証的、理論的な学習が出来るように構成されています。また、学生が専門的な能力を身につけ、卒業後は専門的な職業人として社会に貢献できるよう「社会福祉士」「教職」「学芸員」等の資格が取れるカリキュラムが設けられています。現在、「教職」の特別支援学校教諭免許状の課程認可申請中で、社会福祉士国家試験受験資格課程の法改正にも対応することになっており、あわせて2009年度からの新たな形での開講が予定されています。
人間科学科の教育方針として特記されるのは、少人数教育にもとづく1年から4年までのゼミナールが完備され、卒業論文とともに必修科目であることです。ゼミナールで学問的方法論や基礎知識を身につけ、4年次の卒業論文で学生各自の好みの課題を研究することによって、実践的・実務的な能力が養成されます。そのため、多くのゼミナールでは、実習・見学を兼ねたゼミ旅行を実施し、『ゼミ論集』を発行しているゼミもあります。さらに、諸資格取得や実証的な研究能力を養成するため、実技・実習科目が重視され、福祉、学芸員、教職、社会学等では、調査・実習授業が行われ、卒業論文を含めて、その『報告書』も毎年発行され、学生の実力養成と課程の内容充実が図られています。
明確な問題意識を持った学生はもちろん、大学に入学してから自分の進路を考えようと思っている学生に対応できる学科であることが人間科学科の特徴の一つであるといえるでしょう。
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