3月31日まで中学校の教員でした。部活(羽球女子)の指導もしていましたので,休みのない生活でした。だからといって辛かったということではありません。楽しくて健康的な生活を送ってきたと思っています。35年間,小中学校教員として働いてきましたが,風邪など病気で休んだということがほとんどないのです。休まず働く,ということを目標にして心身を作ってきたのです。当たり前のようにいつもそこにいるという状態が基本なんですね。めざすは“究極の普通”なのです。
専門は特別支援教育です。テーマとしてせり上がってきているのは「特別支援教育における教育学的実践モデルの構築—人格形成をめざして」というものです。そんなことを念頭に置きながら「特別支援教育総論」,「特別支援教育各論I(コーディネーター論)」,「同II(IEP論)」,「特殊教育」,「特殊教育実践研究」の講義をとおして,人間,発達,障害,教育について考えていきます。「教養ゼミナールA・B」のテーマも特別支援教育に引きつけたものです。各自の体験や映画など文化媒体を参考にしながら進めていきたいと考えています。
私のもう一つのテーマは,障害者およびその周辺群の人々を題材にした映画を整理しながら,障害者問題解決の展望を考えることです。したがって,私の口からしばしば映画の話題が飛び出します。この領域は,映画,テレビ,マンガなどの大衆文化にアンテナを張ることが必要です。それによって問題の行方や,問題解決のみちすじが見えてきます。
特別支援教育に話を戻します。中学校では不登校生徒がますます増えています。かって37人に1人だったのが,いまは34人に1人です。少子化であるにもかかわらず,特別支援学級や通級指導教室,知的障害特別支援学校に通う児童生徒数が実数で増えています。全体として障害のある児童生徒,障害があると疑われる児童生徒の割合が高くなっているのです。
特別支援教育と言っても,そう特別なことではなく,多くの児童生徒が活用するであろうごくありふれた教育になっていくでしょう。そんな近未来の学校をイメージしながら,ともにじっくり学んでいきましょう。