置戸町勝山地区で考古学実習(現地実習)を行いました
8月11日から17日まで、置戸町勝山地区において考古学実習(現地実習)を実施しました。
この授業は、考古学の野外調査法の学習を目的に、遺跡での発掘調査・測量調査を行うものです。対象となった遺跡は、勝山地区内の勝山2遺跡です。常呂川沿いの独立丘陵上に位置する旧石器時代の遺跡です。
実習生8名の他に、本学の2~4年生、札幌国際大、明治大学の学生も参加し、総勢19名で調査が行われました。
実習期間中は、勝山公民館で生活しました。スケジュールは、朝食後、8時半に現場へ向かい、昼休みをはさんで作業し、夕方5時に宿舎に戻ります。食事当番が、朝食と夕食を用意しました。夕食後は、当日の成果の報告と翌日の作業の打ち合わせを行うミーティングを行いました。入浴はその合間に行いました。
発掘は、前年度まで調査した部分をさらに拡張して行い、旧石器時代の遺物集中地点の検出を行いました。慎重に土を削りながら徐々に掘り下げて、遺物を検出していきました。炎天下での作業は大変です。それぞれ休憩や給水をしながら、作業を続けていきます。出土した遺物は、地点を測量機械で計測し、地層・出土番号などを記録した後、取り上げていきます。今回は、氷河の作用による地層の乱れも見られたため、教員・TAの指導を受けながら、注意深く発掘していきました。
特に重要な箇所では鶴丸学長が直接指導しました。学長自ら指導する発掘というのは、全国でも例がないでしょう。一部で地層確認のため約2mの深掘りも行いました。担当した学生は、一苦労でした。出土した遺物は、夕食・ミーティング後に水洗し、保管します。多くは、石器を製作するときにできた小さな破片ですが、中には道具(石器)も含まれます。水洗することで、その形状も詳しく確認できます。今回は、細石刃、細石刃核、掻器、石刃などの石器が出土し、大きな成果が得られました。今回の調査で、一昨年から発掘してきた石器集中地点の発掘はほぼ完了しました。今年は、これまでの成果をまとめた発掘報告書の作成を始めることになります。
測量は、遺跡の位置する丘陵の地形測量を行いました。今年は丘陵南東部の測量を行いました。位置・標高を定めた基準杭を設置し、そこに平板という測量機械を設置して、等高線や道路・崖などの境界線を計測して書き込んでいきます。杭の設置や、標高の計測には、トータルスターション、レベルなどの測量機械を使用します。学校で学んだ測量の方法や機器の取り扱いを、実際に現地で実践しました。今年の作業で、丘陵のほぼ半分の測量が終了しました。
実習中には、地区の方々が発掘の見学にこられ、学生達も作業の経過を説明しました。また、14日には勝山地区の盆おどり大会のお手伝いをするなど、地域の皆さんとの交流も行いました。数名の学生が縁日の屋台や餅まきを手伝いました。
調査終了後はすべての学生が大会に参加し、盆踊りにも加わりました。また、本学の留学生もこの日札幌から浴衣持参でやってきて盆踊りを楽しみました。
終了後は住民の方々との交流会が開かれ、学生達も地元の方々と活発に会話をすることができました。また、発掘最終日の16日の夜は、地元の有志による「勝山を元気にする会」と共同で、バーベキューを楽しみました。このような、地域との交流も考古学実習の一部と考えています。
遺跡は地域の貴重な文化財でもあり、その調査研究には、地域の方々の理解と協力が不可欠です。また、遺跡の内容や重要性を地域の方々に知っていただくことは、遺跡の保護にもつながり、考古学の重要な仕事です。地域との交流を通して、そのようなことも学んでほしいと考えています。