近年、しばしば話題になる発達障害として括られる高機能自閉症・アスペルガー症候群、ADHD(注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)の傾向を有する人たちは、昔であれば「特定のことに熱中する一寸変わった人」、「同じ失敗を繰り返すので親しみをこめて馬鹿だねーと言われたりする人」、「読み書きあるいは計算は苦手だけれど旺盛な生活力をもっている人」でした。発達障害と並んで話題になるのが愛着障害です。強く警戒、回避したり、無分別な社交性といった対人関係の困難、不安やうつなど精神的な困難を抱えやすくなるのです。これは、死別や離別によって親(愛着対象)がいなくなることや、自分を守ってくれるはずの親から虐待を受け、安全が脅かされる状況から生じるものです。
発達障害や愛着障害のある人たちの多くは,生きづらさを抱えていますが,その一方,豊かな世界と可能性を有しています。暗から明へとドラマチックに転回する存在ゆえ(その逆もありますが)、映画の主人公として燦然たる光を放っています。
このトークで二通は、〈良い記憶〉をつくることが重要であるという観点から、映画「ちはやふる 上の句」の一シーンを身振りで紹介しました。2年前、「僕は親から捨てられました。親から捨てられるほどの子どもって何か問題があるのでしょうか。たとえば発達障害とか…」という問いをもって二通の研究室を訪れた二本松君は、自身のライフヒストリーを語り、大変ではあったけれど、仲間との出会いや人間科学科のゼミなど、良かったことを列挙しました。最後は、「応援」というキーワードから、映画「青空エール」が良かったね、意気投合しました。
<記事と写真 二通諭先生>