サケ・マス産業を中心とした産業、地域の関連性を学ぶ
3年生の専門科目、「産業調査演習」は経済学科の目的である「
経済学を中心に幅広く社会科学分野の知識を深め、国際的視野と地域的視点を持って現代経済を多角的に分析する能力を養い、その知識と分析能力を活用して地域や産業の発展に貢献する人間を育成する。」を象徴する科目です。1年間かけて、サケ・マス産業を中心とした産業、地域の関連性を学びます。そして社会貢献意識、キャリア形成意識も養うことを目指します。
道東の調査は5年目に
道東への調査に向かうのも5年目となり、学生らの認知度も上がってきたようで、今年は17名の学生が履修しました。
道内出身者ながら、知床地方には行ったことがない…サケはよく食べるけれど、どのように生産・流通されているか…事前調査等で得た知識をもとに、質問の準備も行い、現場を知るためにいざ出発。
今年は、例年より1週間遅い10月23~25日の日程で、道東の斜里町、羅臼町、標津町で調査を行いました。3日間とも好天!すべての旅程をこなす、充実した調査となりました。
1日目は斜里町役場へ
1日目、朝に大学を出発し、夕方から斜里町役場産業部水産林務課 森課長へのヒアリングです。今回は、斜里町のサケの実情に加え、斜里町で取り組んでいる「釣り人に関するローカル・ルール作り」について説明を受けました。学生らにも、ローカル・ルールはどのような内容がいいのか、問いかけがあり、報告書で検討するお題をいただきました。
鮭の水揚げ、生態文化を学んだ2日目
2日目の朝は、森課長からのご紹介で昨年度もお世話になった斜里第一漁協における水揚げの見学です。前川総務管理部長から「もっと近くで見ていいですよ」というお言葉に甘えて、間近でみる水揚げに、学生らは見入っています。「サケ以外の魚種だとブリが多いね」「気候の影響かな」「サケの選別のスピードがすごい」「ランクが違うとこれだけ価格も違うんだ」などの言葉が聞こえます。
その後は、知床半島を横断すべく9時頃ウトロ漁港に到着すると、ラッキーなことにまだ水揚げの最中でした。今年初めて、斜里第一漁協およびウトロ漁港2か所での水揚げ作業を見ることができました。のちにわかったことですが、今年は豊漁だったらしく、シーズン全盛のときには昼過ぎまで水揚げすることもあったとか。迫力満点の光景に「見飽きないです」「上から選別を見るとまた違う」との感想。その後、知床五湖で雄大な景色を堪能し、バスの道中野生の熊にも遭遇し、羅臼町へ。羅臼町郷土資料館では本学人間科学科卒業生の天方学芸員から、羅臼町でのサケ漁や地域文化について説明を受けました。北海道の歴史で知らないことも多く、卒業生という親近感も手伝って学生も「個別に質問してもいいですか」と積極的。このあたりから学生たちが「質問をする」ということに抵抗感がなくなっているのが、教員側からみてもわかります。
2日目最後は、サーモン科学館にて西尾副館長からのガイドを受けて、サケの生態や地域文化について学びます。西尾副館長の熱意に満ちたお話に、学生たちも真剣そのもの。羅臼町と標津町に関しては、経済学科で行われている地域研究「鮭の聖地の物語から人々の生活を知る」とも連動しています。
3日目は知床のエコツーリズムについて考える
3日目、最終日は知床斜里町観光協会の新村氏から、知床の観光についてお話を伺いました。観光客の実態、エコツーリズムを意識した施策の紹介に、学生から「出没数が多くなっている熊との共存は。リスクとの兼ね合いはどのように考えていますか」「(釣り客のローカル・ルールについて)観光協会としてはどのようなお考えですか」などの質問がでます。
その後、網走の北海道立北方民族博物館、北見市留辺蘂町北の大地の水族館で、この3日間で学んだ知識を改めて確認、ハードなスケジュールをこなして帰路につきました。
教員から見ても、学生たちが「調べたことを現地で確認する」という体験を通じて、成長しているのが感じられました。また、経済学科での他の授業から得たノウハウを調査で活かす姿勢は、学科としての取り組みの方向性が見えるものとなりました。
関係者の皆様に感謝しつつ、これから報告書の完成に向けて頑張ります。
- 発行日: 2023.11.21
- 経済経営学部 経済学科