学部長が巡る研究室の旅
経済経営学部学部長の片山です。
大学では、教員は「研究室」と呼ばれる個室で、研究活動や授業の準備、学生の相談対応などの仕事をしています。
経済学科の研究室は18室。さて、どんな人がどんな仕事をしているのでしょう。
しばらくコロナウィルス感染予防のために中断していた研究室訪問ですが、少しずつ再開しようと思います。
さぁ、研究室のドアを開いて聞いてみましょう。
NO.10 大國 充彦研究室
片山:大國先生、社会調査をやってみたいという学生から色々と相談を受けているんですよ。先生ご専門でしょ。詳しく教えてもらえませんか?
大國:お安いご用ですよ。私の研究室は江別キャンパスにあるので、詳しい資料は持参していませんが、簡単に説明しますね。
社会調査ってどんなことをするの?
大國:社会調査をひとことで言うと、「社会問題の発見と診断」です。
片山:なんだか難しそう。調査にはどんな方法があるのですか?
大國:方法はたくさんあるのですよ。たとえば、アンケートのように質問項目を用意して、選択肢から回答してもらったり、特定の方からお話をうかがうという方法、さらにネットの資料や文献・記事・論文から情報を集めることもありますし、人びとの活動を観察して情報を集める方法も。
片山:あ、意外と身近な方法ですね。
大國:私が専門としている「聞き取り調査」は、何らかの社会事象に関わっている人から様々なお話を伺うのですが、相手の呼吸に合わせて質問を重ねると、どんどん話を展開してくださることがあります。「話を引き出せた!」と嬉しくなる瞬間ですね。これはマニュアル化できないやり取りで、まさに一期一会。このスリリングさが面白いです。
片山:コミュニケーション力が養われますね!
「社会調査士資格」って就職活動に役立つ?
大國:そう、
社会人基礎力が身に付きますね。さらに、
経済学科では「社会調査士」の資格も取れるんですよ。
片山:どんな資格なんですか?
大國:アンケート調査や聞き取り調査の方法を学んで、統計や世論調査などのデータを検討できる能力があることを認める、社会調査の専門家の資格です。大学で資格認定に必要な科目の単位を取得して、大学卒業時に社会調査協会に申請すれば資格を取ることができます。
社会調査士は、
・社会や市場から必要な情報を集める力
・得られた情報・データを適切に読み解く分析力や考察力
・調査の実施やデータの分析だけでなく、調査自体が適切に行われているかを評価する力
を身に付けています。これらのスキルは、
リサーチ・リテラシーと呼ばれますが、情報社会が進展しているこれからの社会に必要な能力ですので、面接の際にアピールすることができれば
就職に役に立つことは間違いありません。
片山:
学んだことを資格として活かせるのは、やりがいがありますね!
今年予定している調査は2つ
片山:今年はどのような調査を予定しているのですか?
大國: 2つの調査を計画しています。一つは、新札幌駅近辺で生活する人びとを対象にした調査です。
2021年4月に新札幌キャンパスが開設し経済経営学部も江別キャンパスから移りました。それをきっかけにして、新札幌ってどんなマチ?という調査を行います。
もう一つは、経済学科の地域研究プロジェクトとして、道東の根釧地帯を対象とした調査です。文化庁の日本遺産に登録された「鮭の聖地」の物語をめぐる調査を行う予定です。これら調査は学生が中心に行うので、どんな展開になるのか、今から楽しみなのです!
まずは身近なものを観察してみよう
片山:地域経済にも関わる学びですよね。
大國:私自身、「まちづくり」のメンバーに加わっていたことがあり、メンバー相互の関係や地域の人々との交流を観察したことが、社会調査のスキルを磨き始めるきっかけになりました。経済学科の学びの中には、社会調査のエッセンスがたくさんありますよ。
片山:今すぐできる調査ってありますか?
大國:例えば、通学時のバスの車内で人々はどのように過ごしているのか、持ち物や着ているものなども観察してみると、「
発見」があるはずです。
片山:なるほど。
身近なものを観察することが社会調査に繋がるのですね!勉強になりました。
- 発行日: 2022.06.20
- 経済経営学部経済学科