経済学部では,外部から講師を招いて年に1回から3回の経済学部講演会を開催しております.
今年度の第2回 経済学部講演会は,10月8日(火)の2講時(10時50分から12時20分)に,現在ホットな話題になっているエネルギーについて理解を深めるために,講師に増山 壽一氏(経済産業省 北海道経済局 局長)をお招きし,その題目を「エネルギーと産業」として,経済学部講演会を開催いたしました.
本講演では,多数のスライドによって,エネルギー開発の技術的な問題から,エネルギーと国家戦略の関係,将来のエネルギーの確保の問題と多岐に亘る問題を限られた時間の中で取り上げられました.
次に,日本のエネルギーの産業の特徴の一つとして,日本のエネルギー・インフラは世界に冠たるものがあり,その強みを活かした産業に新成長戦略が結び付けることが肝要であると述べられました.日本の送電技術は優れており,すべての家庭に電気を送ることができています.日本の情報通信産業の成長をこの強みと結び付けることもあっても良いのではないかと述べられました.もう一つの切り口は,枯渇する石化燃料や将来のエネルギー開発についてでありました.石油,石炭,天然ガスの確認可採年数では,石油が約41年,石炭が約147年,天然ガスが約63年,原子力発電の燃料であるウランは約85年であり,さらに,石油,石炭,天然ガスの各資源は旧ソ連,中東等の限られた地域に存在しており,特に,石油は約3分の2が中東地域に偏在しています.第二次世界大戦およびオイルショックを経験した日本は,日本の各地域に国家戦略として石油やガスの備蓄を進めている,と述べられました.
最後に,日本が風力,バイオ,地熱あるいは太陽光などのグリーンエネルギーの方向,あるいは,原子力などのクリーンなエネルギーの方向に進むかどうかは,国民が決めることであると示唆されました.