続けて,配布資料によって北海道財務局の役割について説明されました.北海道財務局は,旧大蔵省と同様に,財務省と金融庁の役割を果たしています.その仕事として,次の5項目を取り上げ説明されました.最初の3項目が財務省に関わる仕事であり,4項目が金融庁に関連する仕事になります.
(1)予算執行状況の調査や,地震や台風などの災害復旧費の査定,
(2)学校や病院や上下水道などの整備に必要になる資金を財政融資資金として貸し付ける,地方公共団体への融資,
(3)国有財産を地域の公的施設として有効活用,
(4)金融機関が健全な経営行っているかどうかを検査・監督と金融商品取引業者の監督や金融商品取引の監視,
(5)地域の情報を国の政策に活かすための地域とのコミュニケーション活動.
以上を説明されて後に,本論に進まれました.
本論の内容は,以下の5項目に要約されます:
(1)北海道の主な基本情報:国勢
(2)北海道経済の産業構造
(3)道内の有効需要の構成と全国との比較
(4)最近の北海道の経済情勢:消費税率引上げ後の情勢
(5)これからの北海道経済の見通し
質疑応答では,北海道の経済の将来に関する質問が多数出されました.北海道から人口流失し,銀行等の金融機関が出ていき,北海道経済は低迷すると考えられますが,本社機能を札幌に移し北海道の活気を保つことは出来ないでしょうか.産業面から北海道の経済の活動レベルを引き上げることを考えるときに,第1次産業の振興によってその引き上げを行い,観光は副次的(プラスアルファ)にする方がよろしいのではないでしょうか.また,日本のGDPが年率でマイナス1.6%の減少になり,2期続けてマイナスになり,北海道の雇用と所得は改善していると示されましたが,しかし,円安のため北海道では原材料価格が上昇し,物価上昇に給与所得の上昇は遅れており,雇用環境もデータでみる程には良くないと実感しています.
これらの質問・意見に,これからの北海道経済では,確かに,第1次産業の振興を軸に,観光を副次的にとのこともありますが,第1次産業を活かし付加価値(率)を高めることがより大切であろう,と返答されました.
国有財産の売却等によって一般会計の赤字を縮小することは可能でしょうか,また,現在の国債残高の下で,金利上昇が起こるとどうなるのでしょうか.これに対し,国家公務員宿舎の削減計画により廃止する宿舎は28年度までに市場投入,売却し,国の財政に貢献することとしている.また,26年度予算では,一般歳出の24%は国債費.新発国債を41兆円,加えて,過去に発行した国債の借換国債を122兆円,毎月10兆円を超える国債を発行,単純計算で仮に国債金利が1%上昇したとしても国の財政には相当な負担となります,と返答されました.
講師をお引き受けして頂きました財務省北海道財務局 総務部長の多田 誠一様には深く感謝致します.
経済学部 久保田 義弘